Composition and function of vestibular nucleus neurons

Posted by Junjie Hua on July 7, 2022

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  • 2022-07-07 Ⅱ型ニューロンと交連抑制

前庭核ニューロンの構成と機能

[新編 感覚・知覚心理学ハンドブック]より抜く

1.半規管系前庭核ニューロン

半規管刺激に対する応答で,前庭核ニューロンが一次求心性繊維と異なる点は,Ⅱ型細胞と呼ばれる一次求心性繊維の活動と逆の反応を示すニューロンが存在することである.一次ニューロンと同様な反応を示す細胞をⅠ型細胞という.前半規管入力を受けるⅠ型細胞はface downの頭部回転刺激により,後半規管入力を受けるⅠ型細胞は逆にface upの回転刺激で発射頻度を増加させる.水平半規管入力を受けるⅠ型細胞は記録側への水平回転刺激により発射が増加する.Ⅰ型細胞は一次求心性繊維から入力を受け,中枢に信号を送る中継細胞で,等角加速度刺激による応答様式から二種に分けられている.一つはkinetic(速動性)ニューロンと呼ばれ自発放電がなく,指数関数的頻度増加の時間経過が早く(時定数は平均3.7s),応答閾値は高く,加速度と発射頻度の関係はより急峻である.このニューロンの多くは一次求心性繊維と直接シナプス結合している.もう一つはtonic(持続性)ニューロンと呼ばれ,安静時にも自発放電があり,反応の時間経過が遅く(時定数は平均8.1s),応答閾値が低く,加速度と発射頻度の関係は傾斜がゆるやかであり,一次求心性繊維とは多シナプス性に結合している.tonicニューロンが回転刺激の閾値に関係するのに対し,kineticニューロンは刺激の強さの弁別に関係していると考えられる.頭部の正弦波状振動刺激に対する前庭核細胞の応答様式も水平半規管系で調べられている.調べた結果,一次求心性繊維に伝わって中枢に送られてきた速度情報はかなり正確にほとんどパターンを変えずに前庭核で中継されていることになる.

2.Ⅱ型ニューロンと交連抑制

Shimazuはネコの水平半規管系中継細胞の発射活動が反対側の水平半規管から抑制を受けることを見出し,その経路は両側の前庭神経核を結ぶ交連繊維(commissural fiber)であることを明らかにした.この交連抑制には,抑制性Ⅰ型細胞が直接反対側の中継細胞を抑制する経路と,興奮性Ⅰ型細胞の交連繊維が反対側にある抑制性介在細胞(Ⅱ型細胞)を賦活し抑制する二つの経路がある.三つの半規管系について交連抑制のかかり方をみると,前・水平・後半規管入力を受ける中継細胞は,それぞれ反対側の後・水平・前半規管の刺激により抑制される.一側の前半規管が反対側の後半規管とほぼ同一面内にあるので,交連抑制は同一平面上にある左右の半規管の中継細胞細胞間で成り立ち,空間的にどのような面で頭を動かしても交連抑制は有効に機能し,半規管に由来する反射の効率を良くしていることを意味している.例えば頭を左向きに回転すると,左側の水平半規管からの一次求心性繊維の発射は増加し,右からのそれは減少する.その効果を左側の前庭核中継細胞についてみると左からの興奮作用が増加し,交連抑制による右からの抑制作用が減少することになる.後者がいわゆる脱抑制(disinhibition)で,両作用が重なり合った結果として反応の効果を上げている.左側の中継ニューロンにとって頭を右向きに回転した時は左側からの興奮が減り(脱促通,disfacilitation)右側からの交連抑制作用が増し,その結果中継細胞の発射活動は鋭敏に抑制されることになる.このように中継ニューロンの反応の感度を強めるという交連抑制の重要性は片側経路障害時にも機能している.